出かけようとすると玄関でそわそわ。帰宅すると、クッションが破られていたり、近所から「ずっと鳴いていましたよ」と言われたり——。それは、わがままでも反抗でもなく分離不安(ぶんりふあん)かもしれません。飼い主と離れることに強い不安を感じてしまう状態で、犬にとっては本当につらい時間です。この記事では、単なる留守番との見分け方と、少しずつ慣らしていく方法をまとめました。
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- 分離不安のサインは「留守中」だけでなく「出かける前」にも出る
- 叱っても直らない。犬は不安でやっているので逆効果
- 出かける・帰るときは、あえて淡々と
- 短い時間から慣らす。数十秒からで構わない
分離不安とは
飼い主と離れることに強い不安やパニックを感じ、心身に症状が出てしまう状態を指します。留守番が「退屈」なのではなく、「怖い」という点が大きな違いです。
特に起きやすいのは、生活が大きく変わったとき。在宅時間が長かった人が出勤を再開した、引っ越した、家族構成が変わった、長期休暇が明けた——こうしたタイミングで急に出ることがあります。
こんなサインが出ていませんか
出かける前
- カバンや鍵を持つと、そわそわし始める
- ついて回る、玄関の前に立ちはだかる
- 震える、よだれが増える、パンティング(ハアハア)が始まる
留守番中
- 吠え続ける・遠吠えする…近所からの指摘で気づくことが多い
- 破壊行動…特に玄関やドア、窓のまわりを壊すのは分離不安に特徴的です(飼い主が出ていった方向)
- トイレの失敗…ふだんはできているのに、留守中だけ粗相をする
- 自分の体をなめ続ける…前足など、同じ場所をなめて脱毛することも
- 下痢や嘔吐
帰宅後
- 異常なほど興奮して飛びついてくる、なかなか落ち着かない
- 失禁するほど喜ぶ
⚠️ 退屈による「いたずら」との違いは、①出かける前から不安のサインが出る ②飼い主がいるときには起きない ③破壊が出入口に集中する、あたりが目安です。判断がつかないときは、留守中の様子をスマホやペットカメラで録画してみると、はっきり分かります。
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やってはいけないこと
- 帰宅後に叱る…犬は数時間前の行動と叱責を結びつけられません。「帰ってきた飼い主は怖い」と学習し、不安がさらに強まります。
- 出かける前に長々と別れを惜しむ…「これから大変なことが起きる」という合図になってしまいます。
- 帰宅直後に大げさに喜ぶ…留守番の前後の落差が大きいほど、不安は強くなります。
- いきなり長時間の留守番をさせる…成功体験を積ませないと慣れません。
出入りはできるだけ淡々と。これがいちばん効きます。帰宅時は、犬が落ち着いてから声をかけてあげてください。
少しずつ慣らしていく
ステップ1|家の中で離れる練習
まずは留守番の前段階から。家にいるのに常にくっついている状態だと、留守番のハードルが上がります。
- ベッドやクレートでひとりで落ち着ける場所を作る
- そこにいられたら褒める
- 別の部屋に移動する時間を少しずつ作る
ステップ2|「出かけるフリ」をする
カバンを持つ、鍵を鳴らす、靴を履く——その動作だけして、出かけない。これをくり返すと、動作と外出が結びつかなくなり、そわそわが薄れていきます。
ステップ3|数十秒から始める
いよいよ外に出ますが、最初は30秒で構いません。吠える前に戻ってくるのが重要です。
- 30秒 → 1分 → 3分 → 5分…と、成功したら少しずつ伸ばす
- 失敗したら、戻れる時間まで短くしてやり直す
- 時間を毎回ばらつかせる(10分の次に3分、など)と、予測できず落ち着きやすい
焦らないことが最大のコツです。数週間から数か月かかることもあります。
ステップ4|留守中に「やること」を用意する
不安を感じる隙を減らします。
- 知育トイやコングにおやつを詰める…出かけるときだけ出す特別なものにすると、外出が「いいこと」に変わります。
- 散歩をしてから出かける…適度に疲れていると眠って過ごせます。
- テレビやラジオを小さくつけておく…無音より落ち着く子がいます。
ひとりで抱えなくて大丈夫
分離不安は、程度が強いと家庭での対応だけでは難しいことがあります。次のような場合は、獣医師や専門のトレーナーに相談してください。
- 脱走しようとしてケガをする(爪が割れる、歯が折れるなど)
- 自分の体をなめ壊して皮膚が炎症を起こしている
- 食事をまったく取らない、下痢や嘔吐が続く
- 近所への鳴き声で、生活が立ち行かなくなっている
症状が重い場合、行動療法とあわせて不安を和らげる薬を使う選択肢もあります。動物病院で相談できることなので、我慢し続ける必要はありません。
なお、留守番の時間そのものの目安は、こちらにまとめています。→ 犬の留守番は何時間まで?安心して任せる工夫
よくある質問
分離不安の場合、無視だけでは改善しません。犬は「かまってほしい」のではなく不安なので、放置は苦痛を長引かせるだけです。短時間から慣らす練習と、出入りを淡々とすることをセットで進めてください。
効果がある場合もありますが、分離不安は「飼い主と離れること」への不安なので、他の犬がいても解消しないことが多いです。相性の問題も出るため、この目的だけで迎えるのはおすすめできません。
ふだんからケージが安心できる場所になっているなら有効です。ただし、慣れていない犬を閉じ込めると、脱出しようとしてケガをする危険があります。まずは在宅時にケージを好きにさせるところから。
在宅中でも、あえてひとりで過ごす時間を作ることです。常に一緒にいると、離れること自体が特別な出来事になってしまいます。短い留守番の成功体験を、子犬のうちから少しずつ積ませてあげてください。
まとめ
分離不安への対応は、①叱らない ②出入りは淡々と ③数十秒から少しずつ慣らす ④留守中にやることを用意するの4つが基本です。
時間はかかりますが、成功体験を積むほど確実にラクになっていきます。そして、うまくいかないときはひとりで抱え込まず、動物病院やトレーナーに相談してください。愛犬にとっても飼い主にとっても、そのほうがずっと早く楽になります。
※この記事は一般的な情報をまとめたものです。症状が重い場合や体調の変化が疑われる場合は、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。
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